FAQコーナー 質問一覧
『横浜で起業 初めての税理士さん』

現在個人事業を営んでいますが、節税について簡単に教えてください。

節税と一般的に言われている項目については下記の項目となります。

また、法人でできる節税については、こちらをご参照ください。

ふるさと納税 寄付した金額-2000円を寄付金控除として税金を安くすることができます。

寄付した金額分税金が安くなるので、その点だけだと損得なし(正確には2000円の損)になりますが、返礼品を受け取ることができますので、その分お得という制度です。

収入(所得)額により限度額が変わってきます。ふるさと納税のサイトにて限度額の試算ができますので、あらかじめ確認が必要です。また、多額の返礼品を受けますと、一時所得となりますので、注意が必要です。

iDeCo(確定拠出年金) 掛金を証券会社に支払い、原則60歳以上に受け取る仕組みです。

投資信託や、定期預金に運用します。毎月の掛け金は、月5千円以上となり、厚生年金に加入していているかどうかで限度額が定められています。

拠出限度額は、国民年金1号被保険者(自営業者)で68,000円、2号被保険者(企業年金のない会社員)・3号被保険者(専業主婦など)で23,000円となっております。

掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)、受取時は一時金の場合には退職所得として退職所得控除が受けられる点が節税となります。

年金として受け取る場合には、公的年金の扱いとなり公的年金等控除を受けられます。60歳まで引き出せないこと、運用がうまくいかなかった場合には受取額が掛金を下回る可能性があることが注意点です。

NISA 上場株式、投資信託等の運用益・配当が非課税になる制度で、18歳以上の方が利用可能です。

つみたて投資枠年間120万円、成長投資枠年間240万円で、非課税保有限度額は1800万円(うち成長投資枠1200万円)となります。

iDeCoとの相違点は、いつでも引き出し可能という点にあり、自由度が高いです。成長投資枠とつみたて投資枠は併用可能です。運用損となった場合には、他の口座(特定口座等)との通算ができないことが注意点となります。

小規模企業共済 小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための、積み立てによる退職金制度です。

月々の掛金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能で、加入後も増額・減額できます。掛金は、全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となります。

退職・廃業時に受け取り可能で満期や満額はありません。一括受取りの場合は退職所得扱いに、分割受取りの場合は、公的年金等の雑所得扱いとなり、税制メリットもあります。掛金の範囲内で、借入(共済契約者貸付)も可能です。

従業員数20人以下(卸売業、小売業、サービス業等は5人以下)であることが加入の要件です。12か月未満の任意解約は掛け捨て、240カ月未満の任意解約は元本割れとなる点が注意点です。

青色申告特別控除 不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営んでいる場合には、10万円又は65万円(55万円)の控除を受けられます。

税理士に依頼するなど会計ソフトで記帳し、確定申告期限内に確定申告することで、65万円(電子申告をしている場合)控除を受けることができます。

青色専従者給与 個人事業の場合、原則として生計一親族に対して給与を支給した場合には、必要経費にはなりませんが、青色専従者給与に関する届出書を提出し、その届出書に記載した範囲内の金額であれば必要経費に計上することが可能です。

提出期限は、青色事業専従者給与額を算入しようとする年の3月15日(その年の1月16日以後、新たに事業を開始した場合や新たに専従者がいることとなった場合には、その開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内)までです。

その事業に専従していることが要件ですので、ほかで働いており、親族の事業に費やす時間がアルバイト程度である場合には要件を満たさないことになります。また、親族だからと言って多額の給与を支給することも問題になります。

医療費控除 原則年間10万円以上の医療費を支払った場合には、医療費控除を受けることができます。本人分のみならず生計一親族分も合算可能です。

近年、セルフメディケーション税制も誕生し、年間12,000円以上の医薬品を購入した場合の控除もあります。

生命保険料控除 生命保険料を支払った場合には、年間最大12万円の控除が受けられます。
地震保険料控除 自宅の地震保険料を支払った場合には、年間最大5万円の控除が受けられます。
住宅ローン控除 自宅の住宅ローンがある場合には、年末の住宅ローン残高(限度額あり)×0.7%の税額控除が受けられます。

令和6年分の場合、限度額は、新築・買取再販の長期優良住宅・低炭素住宅で4,500万円、ZEH水準省エネ住宅3,500万円、省エネ基準適合住宅で3,000万円となります。

控除期間は、13年又は10年となり、合計所得金額が2,000万円以下であることが要件です。中古住宅、増改築の場合にも控除があります。


現在法人を営んでいますが、節税について簡単に教えてください。

中小企業において、節税と一般的に言われている項目については下記の項目となります。

但し、現金支出が伴うものであったり、課税の繰延効果に過ぎないものもありますので、過度の節税にはご注意ください。

また、個人でできる節税については、こちらをご参照ください。

生命保険 数年間の支払が条件となりますが、医療保険や解約返戻金のある保険に加入することで節税になることがあります。また、保険の種類によっては、支払った金額全額経費になるものばかりではありませんので、経理処理上は注意が必要です。
倒産防止共済掛金(経営セイフティー共済) 月5千円から20万円までの掛金を設定できます。800万円が限度。支払った金額全額が経費となります。期末日まで支払いが要件となり、年払いも可能です。但し、解約時に全額雑収入となるため、いわゆる出口戦略が大切です。個人事業の場合など出口戦略を明確化できない場合には、お勧めできません。
また、令和6年税制改正により、令和6年10月以降に解約される場合には、解約後2年間は再加入しても、掛金が損金計上できなくなります。入金額はそのまま利益として課税されます。"

中小企業退職金共済制度(中退共) 従業員の退職金の積み立てになります。月5千円から3万円の範囲内で支払った金額全額が経費となります。従業員退職時には、退職金として中退共から直接支払われます。役員は対象外となります。
従業員賞与 期末までに従業員賞与を支払うことで経費計上が可能です。但し、役員に支払った賞与は、事前届出役員給与を除き、経費にはなりませんので、ご注意ください。
退職金 役員、従業員に退職金を支払うことで経費計上が可能です。役員の退任、従業員から役員への就任などが考えられます。
出張日当 出張旅費日当規定を作成することで、日当を経費にすることが可能です。実費精算をしない経費を日当で清算することが前提となりますので、経費の二重計上にならないように注意しましょう。また、社会一般常識として出張とは言えない近距離で日当を支払うことはやめましょう。
社員旅行 全社員の半数以上出席、4泊5日以内、1人あたり10万円程度の要件を満たすものは経費計上が可能です。但し、1人会社、親族のみ会社の場合には注意が必要です。
交際費 社外飲食費の場合には、1人あたり1万円以下のであれば交際費から除外することができます。但し、現実には中小企業の場合年間800万円までの交際費は全額経費計上が認められておりますので、実質的には関係のない法人がほとんどでしょう。また、社内飲食費や物品の贈答の場合には、適用外となりますので注意が必要です。
短期前払費用の特例 保険料等の役務提供の対価を継続的に支払う経費を年払いにすることで、経費計上が可能です。但し、継続適用が要件となり、資産の対価や売上原価等収益との対応が必要なもの、1年超の対価は対象外です。
在庫商品の廃棄 陳腐化して、売上が見込めない商品を廃棄することで経費計上が可能です。廃棄証明等保存をしておきましょう。
貸倒損失 回収が見込めない売掛債権等について、貸倒損失を計上することで、経費計上が可能です。但し、いつでも貸倒損失が計上できるわけではない点、内容証明郵便の証拠書類の保存が必要となる点に注意が必要です。
社宅 社宅の家賃を経費に計上できます。但し、一定額を従業員から徴収する必要があります。
少額資産の購入 青色申告の場合には、30万円未満の固定資産の場合には、一度に経費に計上できます。但し、年間合計で300万円が限度となりますので、ご注意ください。
中古資産の購入 法定耐用年数を経過している資産を購入した場合には、償却年数2年で経費計上が可能です。但し、30万円以上の固定資産の場合には、減価償却資産としての計上となるため、月割償却となってしまうため、期末間近に購入した場合には、経費計上額が少なくなります。
事業用資産の修繕 原状回復工事の範囲内であれば、修繕費として全額経費計上が可能です。但し、機能向上等原状回復を超える支出の場合には、新規に資産を取得したものとされ、減価償却費としての経費に計上(耐用年数にわたって分割して経費計上)となるので注意が必要です。
固定資産の除却・廃棄 会社の所有する資産を除却・廃棄等を行うことで、損失の計上が可能です。廃棄証明等を残しておきましょう。
含み損の資産の売却 有価証券、ゴルフ会員権、固定資産等含み損ある資産を売却することで損失の計上が可能です。

法人、個人事業、給与所得の違いについて教えてください。

下記の表に違いをまとめました。ご参照ください。

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法人 個人事業 給与所得
契約 元請会社との業務委託契約が必要 元請会社との業務委託契約が必要 勤務会社との雇用契約(時間的拘束を受ける)
性格 - ①自己の計算と危険において独立して営んでいる、 ②営利性、有償性がある、 ③反復継続する意思がある、④社会的地位とが客観的に認められる業務であること、⑤精神的及び肉体的労力の有無及び程度、⑥人的及び物的設備の有無、⑦その者の職業の経験及び社会的地位・収益の状況等から総合的に勘案して、おおむね当てはまる場合には事業所得、そうではないものは給与所得となる
経費負担 仕入、消耗品、車両等事業に必要なものの購入については、自己資金で行う 勤務会社から支給される(自己負担はない)
経理・申告 会計処理、請求書発行業務、法人税の申告が必要 会計処理、請求書発行業務、所得税の申告が必要 原則的には不要(年末調整で完結)
決算期 業務の繁閑に応じて自由に選べる。
消費税が2期免税になるように設定が可能
いわゆる12月決算となる。
12月が繁忙期の場合には、決算対策が立てにくい。
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給与 代表者は給与所得者となるので給与所得控除が適用できる オーナーに対する給与という概念はない 給与所得控除により概算経費が控除可能
親族を役員にすることで所得分散が可能 原則として生計一親族に支払った給与は必要経費に算入できない。但し、青色専従者給与として必要経費算入が可能。(要届出) -
アルバイトの親族に対しての給与の支払いが可能 アルバイトの親族に対して給与を支払っていても経費にならない -
社会保険 社長一人でも強制加入となる
会社負担14%、個人負担(給与天引)14%、合わせて28%を支払う
事業主自身は、社会保険に加入できないので、国民年金、国民健康保険に加入。
従業員については、5人以上の従業員がいると強制加入となるが、①理髪店、美容店、サロン②映画の制作③旅館、飲食店④宗教は非適用業種となり、人数にかかわらず加入しなくてよい。
※雇用する従業員が5人未満の場合に社保加入したい場合には、任意加入が可能
勤務形態が常勤である場合には、勤務会社の社保に加入。勤務会社が社会保険の半額を負担してくれる。
雇用保険 役員以外の従業員を雇用した場合には、雇用保険に加入 事業主(親族含む)以外の従業員を雇用した場合には、雇用保険に加入 週20時間以上勤務会社で勤務する場合には、勤務会社の雇用保険の被保険者となる
退職金 退職金の支払いが可能となる
(退職金には社会保険がかからない)
退職金の支払いは不可だが、小規模企業共済に加入することで同様の効果がある iDeCo等により勤務会社から支給される退職金に上乗せできる
経費 経費の概念が広い 経費の概念は狭い。売上に直結するもの以外は必要経費にならない。(見込み客との飲食代、社員旅行、異業種交流会の会費) 経費の計上はできないが、給与所得控除により税金を低く抑えられている
生命保険 生命保険を活用することで節税(課税の繰り延べ)が可能 生命保険料控除の枠の活用(年間12万円控除)
税金 ・法人税率は25%程度~ ・所得税(住民税含む)率は15%~
・課税所得900万円超の場合33%~
赤字法人でも支払う「均等割」が発生。
(資本金等1,000万円以下で年間7万円)
青色申告特別控除により最大65万円控除が受けられる -
- 事業所得が赤字の場合には、損益通算(他の黒字の所得との利益の通算)
繰越欠損金(赤字の繰り越し)については、10年間の繰越しが可能 損益通算後の繰越欠損金(赤字の繰り越し)については、3年の繰越しが可能 -
消費税 インボイス登録しない場合には、原則2期免税となる。 インボイス登録しない場合には、原則2期免税となる。その後法人化すると合計で4期免税となる。 -
インボイス 元請会社との話し合いにより、インボイス登録を求められる場合には、インボイス登録+消費税申告が必要。インボイス登録をしない場合には、消費税分の請求ができない -
税理士 必須 自分で行うことも可能 不要
登記費用 株式会社の場合、登録免許税等の実費代15万円程度、司法書士報酬15万円程度、合計30万円程度。
合同会社の場合には、トータルで15万円程度
- -
労基法 代表者は労働者ではないので、労災、有休、時間外割増手当、雇用保険等の保護はない
※例外:特別加入により労災加入が可能な場合がある
※当然ながら、従業員を雇用すれば、雇用した従業員には労基法の対象
労働者の立場となるので、労災、有休、時間外割増手当、雇用保険等の保護がある。
その他 人材採用、借入に有利
代表取締役社長を名乗ることができる
あくまで個人事業主という立場
「事業」と認められるためには、相当程度の期間継続して安定した収益を得られることが必要です。副業程度と認められれば「雑所得」となります。
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飲食等について、経費になるかどうかを教えてください。また、福利厚生費、会議費、交際費とはどのようなものでしょうか?

飲食等について経費になるかどうかについては次の表をご参照ください。また、福利厚生費、会議費、交際費の定義についてもお答えします。

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法人・個人事業主
事業のメンバー 一人(親族含む) 従業員雇用有
飲食代 朝食・昼食・夕食代
(親族、自社従業員と一緒の場合を含む)
× ×
残業食事代・休日出勤食事代・社内のお茶・おやつ代 × 福利厚生費○(全員一律であること)
社内・取引先との会議 会議費○(会議の実態がある、議事録・メモがある、お酒なし)
喫茶店、ネットカフェで1人で仕事 雑費○
ファミレスで1人で仕事 雑費○(ドリンクバー程度ならOK)
取引先との飲食(お酒あり) 交際費○(相手先明示可能、過度に高額は△、特定の取引先等、頻度により△)
※一人当たり1万円以下なら会議費○
※新規事業開拓のための飲食:個人事業は▲(売上に直結する経費ではないため)
従業員と飲食(お酒あり) - 福利厚生費○(忘年会、新年会、歓迎会等で社員の大多数参加、年数回まで)
特定のメンバーでの飲食△(頻度、金額により×)
社交団体(法人会、青年会議所、ロータリークラブ等)・同業者 交際費△(業務との関連性、頻度、金額)
※個人事業主は△(売上に直結する経費ではないため)
知人・友人・家族 ×(情報交換は×)
たばこ代 ×(取引先への贈答なら▲)
健康診断・予防接種・スポーツジム × 福利厚生費○(全員一律であること、高額な人間ドックは注意)
同業種の調査研究 調査研究費○(過度な金額・頻度・親族同行は×、記録の保存)
旅行 業務上の出張 旅費:旅費交通費○(日当規定により日当の支払も可、親族同行なら親族部分は×)
出張時の1人又は同行者との食事代:旅費交通費○(日当を別途支払う場合には△)
出張時の取引先との食事:会議費OR交際費○
研修旅行 研修費○(頻度・金額により×、研修記録あり、プライベート兼用は△)
慰安旅行 × 福利厚生費○(親族のみは×、全体の半分以上出席、4泊5日以内、10万円/人以内、年1回程度)
保養所(ハーベスト等) × 福利厚生費○(親族のみ使用は×、従業員みんなが使える、利用管理簿有)
ゴルフプレー代 交際費○(社内のみも○、同行者を明示できること、頻度により△、1人は×)
※ゴルフ用品は×
薬代 × 福利厚生費○(常備薬、みんなが使える)
作業着・制服 消耗品費○(プライベートでも「着れる」ものは×、全員一律であること、スーツ・私服は×)
金品贈答 カレンダー・手ぬぐい等少額なもの 取引先:広告宣伝費○(高額ではないもの)
金品贈答(香典、ビール券等) 取引先:交際費○(高額なもの注意、贈答先を明示できる、手土産含む、
服、靴、鞄等贈答品として一般的ではないものは△)
従業員:×(永年勤続表彰、香典、結婚祝は福利厚生費○)
スーパー、コンビニでの食材の購入 家事用のもの×(朝食、昼食、夕食)
ホームパーティー:会議費又は交際費○(頻度注意)
上記の福利厚生費に該当するもの:福利厚生費○

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※×になるものは、法人なら給与扱い、個人事業なら必要経費にはならない。

科目ごとの定義については、下記のようになります。

福利厚生費 社員みんな一律で支給。頻度、金額に注意。特定の人×、現金は×(香典、結婚祝除く)

※一人法人、従業員のいない個人事業の場合には、福利厚生という考えはない

会議費 会議の実態有、記録有
交際費 接待、供応、慰安、贈答。社内も○、事業に関係のある人
※社外飲食費(社内、贈答は×)は1人当たり1万円以下は会議費へ
全体で年間売上の2%程度が目安

法人設立後に注意すべき点はありますか?

法人の設立登記が終了し、司法書士から謄本(履歴事項全部証明書)を受け取った時点で次の段階に進むことが可能です。この段階ですべきことを下記に列挙しました。

税務関係の届出 税務関係の届出につきましては、会社設立時に必要な提出書類は何ですか?をご確認ください。

社会保険の手続 法人の場合、従業員を雇わずに役員1人に対して役員給与を支払うだけでも社会保険への加入の義務が発生します。

社会保険に加入する際には、年金事務センターに新規適用届、被保険者資格取得届、被扶養者異動届、謄本(履歴事項全部証明書)を提出します。手続き自体はそれほど難しくはありませんが、被保険者資格取得届に給与額を記載しますので、提出前によく保険料負担を検討してから提出する必要があります。

なぜならば、社会保険料の負担は非常に重く(給与の30%程度)、社会保険料の負担によって会社の経営がうまくいかなくなることが多いからです。社会保険料の半額が会社負担となりますので、給与の15%が社会保険料として会社負担になることを加味したうえで給与額を決定しなければなりません。

また、令和6年(2024年)10月からは、従業員数51人以上の企業で働く従業員のうち、下記の4つの条件をすべて満たす人が対象になりますので、その点も事前に確認しておきましょう。週の所定労働時間が20時間以上、月額賃金が8.8万円以上(基本給及び諸手当)、継続して2か月を超える雇用の見込みがある、学生ではない(休学中や夜間学生は加入対象となる)。

従業員数50人以下の法人については、従来通り、原則として週30時間以上勤務する社員・パートさんは社会保険の対象になります。社会保険の負担を避けるためには、勤務時間を少なくし、被保険者とはならないようにする必要があります。

労働保険の手続 仮に週1日数時間の従業員を一人でも雇用した場合には、労災保険への加入が必要になりますので、労働基準監督署に保険関係成立届を提出し、労災保険に加入する必要があります。概算保険料の納付も行います。

また、週20時間以上勤務する労働者を雇用した場合には、雇用保険適用事業所設置届、雇用保険被保険者資格取得届を提出する必要があります。

建設業等の二元適用事業の場合には、通常3つ(現場労災、事務所労災、雇用保険)の労働保険番号を取得します。

許認可申請 建設業等一定の業種については、許認可を得なければ適法に事業を行うことができないことがあります。許認可については行政書士の専門分野になりますので、こちらも早い段階で専門家へ相談しましょう。
融資の申込 自己資金だけで運営できれば必要ありませんが、場合によっては金融機関からの借入が必要な場面もあります。創業時には日本政策金融公庫や地元の信用金庫等に相談し、融資を受けましょう。
預金口座の開設 預金口座の新規開設は年々難しくなっている印象です。法人設立時にはネットバンク、ゆうちょ銀行、地元の信用金庫のいずれかで口座開設するのが一般的です。

審査に落ちて口座開設できない場合も考えて複数の口座に一度に手続きを進めましょう。メガバンク(みずほ銀行、三菱UFJ銀行、三井住友銀行)はハードルが高いため、第1期目の決算が終了し、決算報告書が手元にきた段階でチャレンジするのも一つの方法です。

ネットバンキングは、振込手数料や引出手数料が無料の銀行もありますので、うまく使うことで経費の節約にもなります。

法人名義のクレジットカードの作成 法人名義預金口座の開設を終えたら、法人名義のクレジットカードを作成しましょう。現金払いでは様々な面で効率が悪くなりますので、法人名義のクレジットカードは必須のアイテムになります。

個人名義のクレジットカードを使用し、プライベート兼用にされている場合もありますが、管理面からもあまりお勧めできません。

法人名義のクレジットカードがありますと、マネーフォワード等のクラウドと連携し、カード明細の内容をそのまま会計ソフトに取り込むこともできますので、経理処理時間の短縮、手間の削減につながります。

請求書、領収書等の保管 請求書、領収書等は基本的には7年間手元に保管することが必要です。特に消費税申告について、原則課税を採用している場合には確実に保管が必要です。
役員給与設定 法人設立後一定期間内に役員給与の支払を開始しないと、第1期目の経費に役員給与を計上できないことになりますので、注意が必要です。

例えば、設立後6か月を経過してから役員給与を支払い始めてしまうと、第1期は役員給与を経費に計上できません。早めに適正額を税理士と相談して決め、支払いを開始すべきです。

源泉税の支払い 原則として、給与を支払った月の翌月10日までに源泉所得税を納付する必要があります。

但し、常時使用する従業員数が10人以下の場合には、「納期の特例の承認申請書」を提出することで、年二回(1月20日と7月10日)の納期限となります。承認申請書の提出日の翌月から納期の特例の対象になります。


法人設立の検討段階ですが、税理士に依頼するタイミングはいつがいいですか?

法人設立前に税理士に相談するのがベストタイミングです。

登記する前にあらかじめ決めておくべき事項として、会社の種類、会社の目的、決算期、資本金の額等があります。司法書士に相談し、登記上は問題がなかったとしても、税務上問題になるケースが様々あるため会社設立前に税理士に相談するのが最適です。

会社設立後には、税務署等に対して届出を提出する必要がありますので、遅くとも、謄本(履歴事項全部証明書)が出来上がり司法書士から連絡があったタイミングですぐに税理士に相談しないと手遅れになる可能性も高いです。

また、稀に決算期を過ぎてから申告までに税理士を探そうとされる方もいらっしゃいますが、これは避けるべきでしょう。特に最近では、インボイス制度が始まり、会計処理や決算処理に費やす時間が増加する傾向にあり、また、会計事務所の人材確保が困難な時代になっており、申告直前に依頼があってもお引き受けできないケースもあります。そのような背景もありますので、会計事務所を探すことに時間がかかることを念頭に置いてなるべく早めに税理士事務所に相談するのがよいでしょう。

ここでは、設立登記前に注意すべき事項をまとめました。ご参照ください。

会社の種類 一般的には、合同会社、株式会社、一般社団法人の中から選択することになります。一般的な事業会社である場合には、株式会社をお勧めします。最近では、登記費用の節約等の目的で合同会社を選択される方も多いです。株式会社と比較して、登記費用を半額程度に抑えることができます。一般社団法人は借入の際に不向きですので、気を付けてください。
会社の目的 設立登記前に予定されている事業がある場合には、設立登記の段階で目的に加えておくべきでしょう。設立登記後に目的を追加する場合には、別途、登録免許税(印紙代)と司法書士報酬が発生します。また、一方で、営む予定のない事業までやみくもに目的を列挙するされる方もいらっしゃいますが、その会社の本来の事業がぼやけてしまうためお勧めできません。
決算期 自社の繁忙期である月は決算月にはしないようにしましょう。大きく売上が上がる月がある場合には、利益も大きくなりますので、そのような月を避けて決算期を選ぶことが大切です。

インボイス登録をしない場合には、免税期間がなるべく長くとれる決算期を選択する必要があります。

税理士事務所の繁忙期である12月決算や3月決算は避けたほうがよいでしょう。これらの月を決算月にすると、1社あたりに割けられる時間が少なくなってしまうためです。また、これらの月が決算月の会社さんですと、会計事務所によっては、お引き受けできないケースや割増決算料を請求されるケースもあります。比較的法人数の少ない、2月決算、4月決算、5月決算などがおすすめです。11月決算、1月決算も法人数は少ないものの、年末調整、確定申告と業務がバッティングしてしまうので避けたほうがよいでしょう。

資本金 インボイス登録をしない場合には、設立時の資本金を1,000万円未満にしておかないと、第1期から消費税の納税義務者になってしまいますので、注意が必要です。

法人住民税の均等割については、資本金等の額が1,000万円以下で従業員数50人以下である場合には、年額7万円(神奈川県横浜市の場合には、「横浜みどり税」を含み74,500円)となりますが、資本金等の額が1000万円を超えますと、年額18万円(神奈川県横浜市の場合には、191,700円)となります。


この記事を書いた人

横浜の会計事務所 田辺税理士事務所

田辺税理士事務所
税理士・社会保険労務士
田辺 悠一 代表

田辺税理士事務所とは?

【住所】
〒231-0066
神奈川県横浜市中区日ノ出町1-36 アクロスビル4階

【電話番号】
045-315-7299

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