法人、個人事業、給与所得の違いについて教えてください。
下記の表に違いをまとめました。ご参照ください。
→ スクロール →
法人 | 個人事業 | 給与所得 | |
---|---|---|---|
契約 | 元請会社との業務委託契約が必要 | 元請会社との業務委託契約が必要 | 勤務会社との雇用契約(時間的拘束を受ける) |
性格 | - | ①自己の計算と危険において独立して営んでいる、 ②営利性、有償性がある、 ③反復継続する意思がある、④社会的地位とが客観的に認められる業務であること、⑤精神的及び肉体的労力の有無及び程度、⑥人的及び物的設備の有無、⑦その者の職業の経験及び社会的地位・収益の状況等から総合的に勘案して、おおむね当てはまる場合には事業所得、そうではないものは給与所得となる | |
経費負担 | 仕入、消耗品、車両等事業に必要なものの購入については、自己資金で行う | 勤務会社から支給される(自己負担はない) | |
経理・申告 | 会計処理、請求書発行業務、法人税の申告が必要 | 会計処理、請求書発行業務、所得税の申告が必要 | 原則的には不要(年末調整で完結) |
決算期 |
業務の繁閑に応じて自由に選べる。 消費税が2期免税になるように設定が可能 |
いわゆる12月決算となる。 12月が繁忙期の場合には、決算対策が立てにくい。 |
- |
給与 | 代表者は給与所得者となるので給与所得控除が適用できる | オーナーに対する給与という概念はない | 給与所得控除により概算経費が控除可能 |
親族を役員にすることで所得分散が可能 | 原則として生計一親族に支払った給与は必要経費に算入できない。但し、青色専従者給与として必要経費算入が可能。(要届出) | - | |
アルバイトの親族に対しての給与の支払いが可能 | アルバイトの親族に対して給与を支払っていても経費にならない | - | |
社会保険 |
社長一人でも強制加入となる 会社負担14%、個人負担(給与天引)14%、合わせて28%を支払う |
事業主自身は、社会保険に加入できないので、国民年金、国民健康保険に加入。 従業員については、5人以上の従業員がいると強制加入となるが、①理髪店、美容店、サロン②映画の制作③旅館、飲食店④宗教は非適用業種となり、人数にかかわらず加入しなくてよい。 ※雇用する従業員が5人未満の場合に社保加入したい場合には、任意加入が可能 |
勤務形態が常勤である場合には、勤務会社の社保に加入。勤務会社が社会保険の半額を負担してくれる。 |
雇用保険 | 役員以外の従業員を雇用した場合には、雇用保険に加入 | 事業主(親族含む)以外の従業員を雇用した場合には、雇用保険に加入 | 週20時間以上勤務会社で勤務する場合には、勤務会社の雇用保険の被保険者となる |
退職金 |
退職金の支払いが可能となる (退職金には社会保険がかからない) |
退職金の支払いは不可だが、小規模企業共済に加入することで同様の効果がある | iDeCo等により勤務会社から支給される退職金に上乗せできる |
経費 | 経費の概念が広い | 経費の概念は狭い。売上に直結するもの以外は必要経費にならない。(見込み客との飲食代、社員旅行、異業種交流会の会費) | 経費の計上はできないが、給与所得控除により税金を低く抑えられている |
生命保険 | 生命保険を活用することで節税(課税の繰り延べ)が可能 | 生命保険料控除の枠の活用(年間12万円控除) | |
税金 | ・法人税率は25%程度~ |
・所得税(住民税含む)率は15%~ ・課税所得900万円超の場合33%~ |
|
赤字法人でも支払う「均等割」が発生。 (資本金等1,000万円以下で年間7万円) |
青色申告特別控除により最大65万円控除が受けられる | - | |
- | 事業所得が赤字の場合には、損益通算(他の黒字の所得との利益の通算) | ||
繰越欠損金(赤字の繰り越し)については、10年間の繰越しが可能 | 損益通算後の繰越欠損金(赤字の繰り越し)については、3年の繰越しが可能 | - | |
消費税 | インボイス登録しない場合には、原則2期免税となる。 | インボイス登録しない場合には、原則2期免税となる。その後法人化すると合計で4期免税となる。 | - |
インボイス | 元請会社との話し合いにより、インボイス登録を求められる場合には、インボイス登録+消費税申告が必要。インボイス登録をしない場合には、消費税分の請求ができない | - | |
税理士 | 必須 | 自分で行うことも可能 | 不要 |
登記費用 |
株式会社の場合、登録免許税等の実費代15万円程度、司法書士報酬15万円程度、合計30万円程度。 合同会社の場合には、トータルで15万円程度 |
- | - |
労基法 |
代表者は労働者ではないので、労災、有休、時間外割増手当、雇用保険等の保護はない ※例外:特別加入により労災加入が可能な場合がある ※当然ながら、従業員を雇用すれば、雇用した従業員には労基法の対象 |
労働者の立場となるので、労災、有休、時間外割増手当、雇用保険等の保護がある。 | |
その他 |
人材採用、借入に有利 代表取締役社長を名乗ることができる |
あくまで個人事業主という立場 「事業」と認められるためには、相当程度の期間継続して安定した収益を得られることが必要です。副業程度と認められれば「雑所得」となります。 |
- |
→ スクロール →